吹奏楽の楽器 調号の話 吹奏楽の話52
ホルンの話の回だが、先に調号について少し簡単に書いておこうと思う。
トランペットの項で管弦楽のオーケストラスコアでは、ホルンが金管の最初の段に、書かれると紹介したが、吹奏楽ではトランペットの次に書かれる。
過去にも触れたので、部分的に繰り返しになるが、調号は昔の記譜法では、だいたい金管楽器のトランペットとホルンは書かれなかった。
しかし、それぞれの管は移調しては書かれてる。
この辺が、おかしな話になってくる。
昔、俺が高校生の頃、吹奏楽の記譜法なる本がほとんどなく、管弦楽法の本を読んで独学勉強してた。
吹奏楽のアレンジ作品なども書いてたのだが、機会あってその作品を自分のバンドで演奏することになった。
それで、パート譜を俺が写譜して作って、各パートに配った際に、金管の連中が騒ぎ出した。
トロンボーンはフラット一つの調号が書かれてるのに(ニ短調の曲だから)、ホルンとトランペットは何も書いてないと。
これはおかしいと指摘してきた。
たぶん、そんな歳も違わない俺が、アレンジを書いて、それをみんなで吹くなど、おもしろくなく生意気だと思われてたってのもある。
ところが顧問の指揮者の先生が俺の方を向いて、わざと書かなかったのか?と聞いてきた。
正直言って、この時にはじめて、この先生は深い知識があるんだなと尊敬した。
俺がそうですと答えると、先生が言ってる連中に、お前らは譜面の通り吹けばいいと言ってそれで終わった。
管弦楽でも、プロコフィエフとか、シェーンベルクとか、楽器全部に調号を記載し、その代わり移調せずに書く作曲家もいる。
プロコフィエフはたしか、金管は調号を記載して、移調しなかったと思う。
吹奏楽では、移調楽器が多くて、全ての楽器に調号を記載しないと、わけがわからなくなる。
楽器の名前に inFと書いても、調号が書かれてなかったら、どうして何も書いてないの?、それともニ短調(へ長調)の曲なの?…か、理解できないからだ。
ちょっと簡単に言い過ぎて、音楽がよくわからない人は、チンプンカンプンかもしれないが、わかってる人は、そうだよね〜って聞いてくれたと思う。
バレエ音楽『ロメオとジュリエット』より (S.プロコフィエフ)