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防波堤での恐怖体験

「防波堤での恐怖体験」

俺が今から25年くらい前、30代はじめの頃に、釣りに行った時に体験した話です。

この時海釣りに出かけたのは、職場の仲間が行きつけにしていた、茨城県の某有名防波堤です。
この防波堤は立ち入り禁止の防波堤で、テレビでネタがない時など、何度となく危険な防波堤に立ち入ってる人がいると、話題にされた場所です。

この防波堤の入り口には、大きな看板があって、「ここですでに56名の方が亡くなっています。あなたは57人目になりたいですか?」とかなり厳しいメッセージが掲げられています。(実際亡くなった人は100人を超えてます)

この防波堤がなぜ人気なのかと言うと、幅は20mくらいで、長さが5kmくらいあります。
港への波を止める為のもので、海に向かってひたすら伸びている防波堤で、いわば歩いて魚影の濃い沖まで行けるメリットがあって、こっそり入る人が多いのです。

仲間と防波堤に入り、夜も遅い時間まで釣りを楽しんだ時でした。
俺はあまり夜が強く無いので、朝まで防波堤にいる事は身体がきついから、仲間に別れを告げて、一人で先に帰路につきました。

深夜の1時過ぎごろだったと思います。防波堤は遠く船ドックの灯りが見えるだけで、かなり暗い状態でした。
懐中電灯で足元を照らしながら、長い防波堤をひたすら歩いて戻る途中のことです。

ふと、オレンジ色の小さな灯りが2つ、ぼんやりと前方に見えてきました。
地上から2mくらいの所をぼんやりと浮かんでいるといった感じの灯りです。

これはなんだろうか?人魂だろうか?
俺はこの防波堤で死亡者が出ている事を思い出し、噂でも人魂をみたという人の話も、聞いたことがあるので、ちょっと背筋がぞくっとしました。

それで、防波堤は幅があるので、俺は右側を歩いていたのですが、無意識に歩きながら左側に寄りました。
するとどういう訳か前方の灯りも左側に寄ってきます。
この灯りですが、時折少し明るくなり、また暗くなる感じでオレンジ色に光っています。

これはいったいなんだ?と、かなり怖くなって、こんどはまた右側に寄りました。
すると、前方の灯りもまた右側に寄るのです。

え、自分の方に向かってきてる!?
俺はかなり慌てました。
同時に恐怖を感じてきました。


俺は仕方なしそのまま歩いていくと、その灯りのまわりに人のようなシルエットが見えはじめました。

だんだん近づくと、それが人間である事がわかり、俺の方へ向かってやってきます。
5mくらい近づいた所で人間だと、はっきりとわかりました。

その2人の人が俺の前までくると、話しかけてきました。
「あのー、タバコ切らしちゃったんで、持ってたら売ってくれませんか?」と言ってきました。

2人ともタバコを指に挟んで吸っていて、「これ最後の一本なんです〜」と言われました。
…残念ながら、煙草吸いませんので、スイマセンと言って(笑)

なんだ、あのオレンジ色の灯りはタバコの火で、吸った時に明るく光っていたんだ…と思いました。
防波堤から一番近いお店まで行くのはかなりの時間がかかりますから。

なんとも、お粗末な恐怖体験でした。