2020年度全日本吹奏楽コンクール課題曲を聴いて、寸評を入れておきたいと思う。
一曲ずつの寸評を書き込む前に、まず全体としての課題曲の内容についてだが、課題曲1から4は、中学高校生向けで、5は、高校大学一般向けとなってる。(高校は一般向け作品も演奏できるようになった)
朝日作曲賞の吹奏楽部門は、二つの作曲コンクールがあり、1から4までの曲の中の1曲と、5の曲の2曲が、コンクールで選ばれた作品ということになる。
残りは委嘱作品。
音楽の内容も、中学高校向けは旋律的にも優しい内容で、高校大学一般向けは現代音楽。
それで毎年俺が言ってることだが、やはり昭和56年以前の音楽が、課題曲として素晴らしく、それ以降は毎年いまいちだと思う。
今回も残念ながら、特筆すべき音楽はなかった。
まずもって音楽に大切なことは、
旋律が美しいこと。
展開が巧みなこと。
組み立てが技術的であること。
それら全てが緩慢で、なんとなく音楽になってるだけ。
厳しい言い方をするが、特に美しい旋律を作るというのは、元々の才能が必要。
そういった才能を持っていない作曲家が、実際には多いのだと思う。
どんなに巧みな技を持っていても、旋律が悪ければ、人の心を打つことはできない。
そして選ばれた音楽が、課題曲として全国の学校で演奏されるわけだが、本当にそれでいいのかと毎年思う。
あまり突っ込んだ話もするつもりはないので、さらっと流す。
1.やまがたふぁんたじぃ ~吹奏楽のための~
文字通り山形民謡取り入れた楽しい作品だったと思う。
昔は民謡をテーマにした作品が結構あったが、最近は少ないので喜ばれるのではないかと思う。
2.マーチ「ブルー・スプリング」
吹奏楽のマーチの特色は3部形式で、真ん中に違うものを持ってきて、頭とお尻は同じで構成がなされる。
旋律的にも、全体で演奏した後、比較的高音域でメロディーを奏し、今度は低音域でメロディーを奏すやり方。
この音楽はそうした基本的な組み立てに準じて、作られている作品だと思う。
3.ジェネシス
今回の課題曲の中では、この曲は優れた作品だと思う。
特に様々なシンコペーションと、複合的な拍子を多用している。
課題曲という短い時間の中で、いかに様々な表現をするかという点でも、非常に大胆な試みがなされていると思う。
4.サーカスハットマーチ
吹奏楽としての、色彩豊かなマーチ。
基本的な形式を踏襲しながらも、対位的な部分で工夫を凝らしたり、面白味を出している曲だと思う。
5.憂いの記憶 - 吹奏楽のための
現代的な非常に和声が計算された、難しい音楽だと思う。
特にパーカッションの色彩には、かなり気を配ったであろうと感じる。
音楽的な展開としては、音の余韻をつないでいくような展開方式で、ちょっとリゲティなんかにも、聞こえるような部分もある。
いずれにしても、作曲するのは大変だったのではないかなと推測される。
以上曲の寸評を入れてみたのだが、今回はジェネシスのみ、こちらに YouTube の音源を紹介したいと思う。
他の曲も聞きたい方が、もしいらっしゃれば、別途紹介します。
音源のクレームが入ったので現在公開を停止しています。
すみません。
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