ブリブリの日常的な感じ

日常の自分を綴る

何度も現れた女の子の霊

何度も現れた女の子の霊

交通事故にあって、空中から地面に横たわってる、血だらけの自分を見た以来、頻繁に幽霊を目撃するようになる。

生きてる人なのか、それとも死んでる人なのか…子供の頃は、どちらでも関係なく、いろいろ遊んだりしてたと思う。
大人になり、あの時はおかしな状態だったと思い返す。

今の家に越して来たからも、いろいろあった。

それは小学校3年の時だった…
それまで俺は東京の品川は大井町という下町に住んでた。
羽田空港も近くにあって、工場もたくさんあり、光化学スモッグの町と化していた。
学校の授業中も、光化学スモッグ警報が出ると窓を閉めさせられ、息苦しく暑い夏も、そんな感じで過ごしてた。

うちにいても、それは同じなわけで、クーラーなんてない時代に、小さいアパートは玄関まで明けないと風が抜けない感じだった。

そんなボロのアパートも取り壊しが決まった。
それで、職人の親父は、叔父さんといっしょに仕事をする事にして、今の所に引っ越した。

今までは六畳一間に家族5人が住んでたが、ここに来たら四畳半と六畳という典型的なアパートの大きさになった。

俺は妹と四畳半で、2人の部屋になった訳だが、このアパートはどうも落ち着かなかった。
それまでにも、何回も幽霊を見てるから、俺はここでも見るんじゃないか?と嫌な予感がした。
子供心に…

そして、いろいろとおかしな事がおこりはじめたのだが…
ごく一部を書くけども…

その家の玄関には小玉電機が付けられていて、夜はトイレに行く際の灯りになっていた。

俺の部屋の扉は開けてあり、玄関はよく見えた。
その小玉電気に玄関がオレンジ色に照らされて、なんとも気味の悪い感じに見えた。

それで、その部屋で寝る事になり、俺は玄関側を頭にして、布団を敷かれた。

その晩の事だった。

夜中にトイレに生きたくて上半身を起こそうと、腹這いになって玄関を見ると、誰か玄関に座ってる。

寝ぼけ眼でもう一度見直すと、そこには小さなおかっぱの女の子が座ってる。
妹かと思って横を見ると、妹が寝ている…
末の妹かと思ったが、こんな髪型はしてない。

俺は驚いて、これは確かに幽霊だと思った。

その座ってる女の子は、背中を俺の方に向けて座ってた。
だから、振り返って俺を見るんじゃないかと、だんだん不安で怖くなってきた。

俺は見ないようにしながらも、どうしても女の子を見てしまう自分を抑えられなかった。
オレンジの灯り照らされてるからか、セーターとスカートが赤っぽかった。
確かに色がついて見えていた。

俺はそのまま布団をかぶって、隙間からその女の子を見ていたが、そのうちに眠ってしまった…

翌日になって、おふくろに昨日そこに女の子が座ってたと言ったら、お袋は一瞬考えたような顔をして、そんな事あるわけないだろう!と俺を一喝して、その話はそれで終わったかに見えた…

それからその家で、俺は女の子の霊をもう一度見る事になる…

ある日、いつもの様に寝て、夜中に物音で目が覚めた。

この前書いたように、俺の部屋から玄関がよく見えた。
俺が起きた時には、その玄関の扉が開け放たれていて、その扉が赤く光って、何かの絵が踊る感じに見えた。
親父は職人だから、外で溶接でもしてるんじゃないか?って子供ながらに寝ぼけて、思ったのを覚えてる。
 
それから、お袋が血相を変えて、俺がぼーっと見つめるその扉から入って来て、早く洋服を着て外へ出る準備をしろと怒鳴ってる。
 
俺はなんだかわからなかったが、お袋が鬼の形相なので、これはまた、ぶっ飛ばされると思い、急いで着替えて妹に服を着せて、ランドセルを持って外へ出る準備をした。
 
すぐに、お袋が来て俺たちは外へ連れ出された…
 
そこには、隣の友達の家が燃えてていて、すごい炎が舞っていた…

火事だった。

すぐに、消防車が到着して、消火作業をしようにも、給水が枯れていて、大変だって本部に電話をしてる…
 
俺は外に出てから、ふと振り返ってうちの開けっ放しの玄関の扉を見ると…
目が止まった。
 
あの玄関に座ってた女の子が、同じ格好で、セーターとスカートで、戸口に立っていた…
顔を初めてみた。
みたこともない女の子だった。

咄嗟に、やっぱりあの子で間違いないと確信した。
 
俺が、あ!っと言いかけると、うっすらと笑って姿がだんだん消えていった…
扉に吸い込まれていくような感じで。
 
俺は背筋がぞくぞくいったのを、今も鮮明に覚えてる。


火事は隣と言っても、駐車場一つ挟んだ隣だったので、うちの雨樋こそ熱で曲がったが、飛び火する事はなかった…
風もなくラッキーだったと思う。
 
それにしても、あの子はいったい誰なんだろう…
俺はそう思った。
 

火事の時、外に出た俺たちは、家に戻れない事を想定して、親戚のうちに行こうか、それとも近くの公園で待機するか考えてた。

けれど、1時間もすると、鎮火して、こげた匂いが立ち込めてたが、家へ戻れる感じになってた。
 
お袋は一番下の妹を抱いてて、俺はすぐ下の妹の手を引いてそこに立ったまま、くすぶってる友達の家を見てた。
親父はどこへ行ってたか記憶にはない…
親父なんてそんなもんだろう(笑)
 
それから、しばらくして、寒いよ~寒いよ~という声が聞こえた。
お袋がそっちを見ると、火事にあった友達兄弟達がそこに立ってた。
 
もう家に帰っても大丈夫だろうっていうんで、お袋はその兄弟妹にそこで待ってるように言うと、毛布と俺の洋服と妹の洋服を持って来て、友達と、その妹、それから小さい弟の3人に渡して着せた。
それから、毛布を持たせると、友達の背中に紐で縛っていた。
 
それから、そいつの母親が来て、挨拶もなく3人を連れていった。
 
たしか、季節は冬に近いかったと思う。
実際、俺のけっこう気に入ってたジャンバーを、こいつにあげてしまったのはちょっとショックだった。
 
遠い昔の事だから、それも記憶違いかも知れないが…
 
後日、近所からも色々差し入れをして、その敷地にプレハブみたいなのが建って、そこで友達家族は暮らしていたが、俺たちがあげた衣類なんかを、そこの母親が庭で燃やしてて、おふくろがかなり頭にきてたのを思い出す…
貰い物だから、処分するのは仕方ないけれど、公然とは駄目だよね…

 

友達のうちが火事に鳴ってから1年後、同じ地区で建て売りの家に引っ越す事になった。

それが駅から遠く、街灯も満足にない細い道の先の2階建てで、いまでこそ少しは拓けたが、当時は林の中の、かなり気味の悪い場所だった。
 
後で知ったが、お墓だったらしい…(それも定かではないが…)
実はそこに建て替えて、今でも住んでるんだけどね(笑)
だから誰もいない部屋で、テレビが勝手についたりするのかな?
 
その家に越して来た最初の夜だった。
忘れもしない…
 
俺は二階で、親と妹達は一階で寝ていたのだが、寝てると、夜に突然喘息になった。
もともと、喘息持ちだから、新しい家は薬品がかかってるので発作がでやすかったりする。
なんせ昔の話だ。
 
それで起きたのだが、息苦しかった。
まだ越して来たばかりで何も片付いてなくて、二階は4畳半の部屋と6畳の2部屋があったが、俺だけ一人4畳半で寝ていた。

襖をかえして6畳の部屋に繋がっていたのだが、その襖が運搬のために取り外していて、前の家から持って来た白いレースっぽいカーテンを、そこに無造作にかけていた。
 
4畳半は小玉電機をつけてうっすらと明るかったが、そこから6畳の方を見ると暗くなんとなく嫌な雰囲気だった。
 
それで、俺は起きたついでにトイレにいこうと起き上がると…
「あ!…」と声を上げておしっこをもらしそうになった。
 
そこには、そのカーテンの向こう側に、透けるように、ピンクのシャツと、赤いスカート、おかっぱ頭の女の子が立っていた…
 
あの幽霊…
 
俺は本当にびっくりして声もだせなかった。
 
それは時間にしてどのくらかわからない。
数秒だったんだと思うが…その幽霊の姿は、火事の時と同じように、すーっと消えていった。
 
俺は慌てて下に降りると、おふくろを起こして幽霊が出た事を告げた。
すると、おふくろは相手にもしないといった態度で、俺は邪魔者扱いにして追い払った。

だが、しばらくして2階に見に来たんだよな…この時のお袋の顔の方が強かった…

それから幾度となく、この幽霊は俺の前に現れた。
それも、現れる時はいつでも不安な気持ちになって、心がざわざわいった。
だいたい夜中に目がパッチリと覚める現象があると、幽霊を見た。

けれども、不思議と何かされるといった気持ちにはならなかった。

俺があまり言うものだから、親爺が夜にも見回りに来てくれたが、親爺はもともと幽霊なんて信じない人間で、鈍感な酒飲みだったから、最初から理解する気持ちもない。 

そういう人には、見えないんだよね、当たり前だけども…
 
高校生の時、俺が出演する吹奏楽コンサートの前、風邪で酷い熱が出た。
最後に見たのはその時だったような気がする…

その幽霊を見た翌日、熱は嘘のように下がってた。

今はもう、幽霊はでなくなったが…
 
いったいその子が誰だったのかもわからない…
俺に何を伝えたかったのだろうか…