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ウィンドサーフィンでの怪談

ウィンドサーフィンでの怪談 

若い頃ウインドサーフィンをやっていたが、その当時俺は横浜に住んでいた。

先輩が安いボードのセットがあるから、入門編としていいんじゃないかと紹介してくれた。

俺は車もなかったし、ボードは欲しかったけど、購入してもどうしようか?ということで、先輩が保管など面倒をみるかと言ってくれたから購入したわけだが…

結局ボードは先輩のおもちゃにされ、俺はたまに、その代わりにと連れてってもらうという程度だった。

それでも何度かやってるうちにだんだんと上手になってくる。

話が脱線しそうなので戻すが、海でボートに乗ると、強い風で潮で、とてつもなく遠くまで、流されてしまうことがある。

それで初心者のうちは、あまり流されることがないし、流されてもすぐに岸に着く湖の方が良いと、先輩の家から比較的近い山中湖の方で、乗ることが多かった。

ウィンドサーフィンの場合は、セールがついてるので、ボートから転落して水に落ちると、しばし頭の上にセールが降ってくる時がある。

そんな時は立ち泳ぎしながら、手でセールを押し上げて空気を入れて、一旦空気を吸い込むようにすれば良いのだが、頭を塞がれると人間は慌ててしまう。

初心者の頃はそういったことでよく慌てた。

それでちょうど桟橋近くでそうした現象に陥ったことがある。

桟橋は水面から見えてる部分よりも土台の方がかなり広くて、湖の中に土台が張り出してる。

例によってボードから落ちた時に、その桟橋近くの湖水底にある土台に、右足をぶつけてしまった。

水の中で足をぶつけた経験のある方なら分かるだろうが、かなり重苦しい痛みが襲ってくる。

それで俺は慌てて水面に出ようとしたが、ものすごい痛みで、水の中でちょっとうずくまってしまった。

それでも気を取り直して、自分のボードの方に泳いで行こうとしたら、何かが俺の足を引っ張った。

え!

何かが俺の左足を掴んでる感触があった。

俺はとっさに、よく海で溺れそうになってる人が、自分の足を死人が引っ張ってるって、怪談なんかでやってるのを思い出した。

それで恐る恐る自分の左足を見たが、そこには何も見えなかった。

とにかく俺は訳が分からなかったから、足を思いっきりくるくると動かして、水上に上がろうともがき続けたら、突然すーっと体が軽くなって、水面に放り出されるように浮かんだ。

よかったと安堵した。

それでさっき足をぶつけたところが、痛みが取れないので、ボードの上に上がってみると、案の定右足の先端を切っていた。

やれやれと傷口を見ながら何気なく左足を見たら、左足にはっきりと、人の手跡がついていて、かなり強く握られたようなアザになってた。

これには俺も驚いた。

テレビや雑誌で見かけた恐怖体験が実際にあって、自分がそれを体験するとは思いもしなかった。

山中湖でウインドサーフィンをやったのは、これが最後になった。

それから越してきて、他の場所でもウィンドサーフィンをやったが、どうしてもそのことが脳裏から離れなくて、いつも思い出してしまってた。

今はもうウィンドサーフィンは行ってないけど…