ブリブリの日常的な感じ

日常の自分を綴る

小澤征爾さん追悼

「ボクの音楽武者修行」という小澤征爾さんの本を手にしたのは、44年前だった。
若い頃俺も、音楽に対してはかなりかぶれていて(それは今もかも知れないが)、自分は常に芸術家であると、勝手な空想のなかにいつも佇んでいたように思う。
この本には、そんなどことなく似たような俺的な(笑)雰囲気を感じたのを今も時折思い出す。

小沢征爾さんの24歳から約2年半の音楽修行(ヨーロッパや米国)の自伝的エッセイで、音楽の事ってよりは、それ以外の話が多い気もするが、常に音楽というものを主軸に考え、それを通すことがもっとも人生でむずかしいと知る、最初のステップがここにあるのではないかとすら思えるエッセイ。

生意気な書き方になるが、俺は若い頃それまでも、カラヤンバーンスタインと言った、天才的な指揮者の演奏と、それに追従する世界の管弦楽団の演奏が、すばらしいの極めと感じていた。
しかし、当時学生ではあったが、自分が楽団を指揮をするようになって、楽譜に書いてないことを、いかに表現するか?という難しさを目の当たりにして、それが解決方法もなく、ただ自分自身の知識の蓄積と、特にセンスであることを知り、習得出来ない天才との壁に直面して、手も足も出ない中で、そんな闇の中で手探りで勉強せざる得なかった。

それから数年後に、小澤征爾さんが指揮する、Rシュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」を聞いて、特に、Von den Hinterweltlern(世界の背後を説く者について)においては、その楽譜に書いてない音楽のすばらしい表現を改めて聞いて、心の底から感動した。

昔の有名な指揮者たちではなく、ここに日本人の天才がそれを表現してると、はじめて小澤征爾さんを心から尊敬した。

世界の音楽ファンは、ここにまた一人の天才を失い、この先に追従してくるものはほとんど居ないことも知っている。

残された録音に、また次の希望を見出して、追悼したいと思う。


ご冥福をお祈りして、俺の作品を捧げます。
楽オーケストラのためのコンソレーション「Ubi Caritas」2021年版
https://www.youtube.com/watch?v=ZwPz6XVIalw&t=1155s

※動画を見られない場合は、youtubeに入って御覧ください。

投稿された画像
投稿された画像
投稿された画像