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クラシック音楽からの吹奏楽アレンジ作品 吹奏楽の話 17

クラシック音楽からの吹奏楽アレンジ作品 吹奏楽の話 17

俺自身が過去に演奏してきた、あるいは指揮してきた音楽も、このシリーズには登場しています。

それで、今回はちょっと余談になりますが、その関連で、過去に演奏した、ボロディン交響曲第2番を載せようと思います。

余談と書いたのは、直接吹奏楽に関連してない話ですが…という内容です。

ちょっとむずかしい話になるかも知れません。


ボロディンの音楽をいろいろ演奏したり、あるいは俺の場合は、アレンジしたりと楽譜に密接に対峙してきて、ある特徴的な事を知りました。

ボロディンの音楽は、分類的に言うとロマン派に当たります。
ざっくりシューベルトからロマン派となっていますが、そういう線引はあくまでアバウトですが。

そのロマン派の特徴は、簡単に言うと、美しい旋律性を生かした音楽と言うことになります。

バロックから古典派までは、音楽はモティーフと言う形で、その断片的なものを展開していました。
要するに短いパッセージの要素が、いろいろ詰め込まれてるので、音楽を展開をしやすかった。

それはロマン派になると1つの歌となってきています。
長いパッセージの歌になってしまったら、それをいろいろな形でぶつ切りにして、展開するっていうことができなくなってきます。

ずいぶん昔の話になりますが、全音のスコアで、メンデルスゾーンのイタリアを購入した時です。
デンオンのスコアには前半にいろいろな解説がなされていますが、その中で、今言ったように1つのパッセージが、それで1つの構成をなしてしまっているので、展開するのに苦心した部分があると言う話です。

メンデルスゾーンのイタリアの第一楽章で、どういうわけか展開部の前に新しい短い主題が現れて、それを基本としてフガート形式で展開していきます。
要するに、第一主題そのものが、展開に不向きな長いパッセージで、そのために短い動機的な旋律を展開部の前に持ってきて、それを素に展開したのだという解説でした。

目から鱗でなるほどと感心しました。

ボロディンの特徴はこれとはちょっと違いますが、でも似たものがあり、1つのパッセージが非常に長くまとまりがあるために、それをもとに展開していくにはかなり無理があります。
美しい旋律が故に、展開は困難といったところでしょうか。

そのためにボロディンは旋律をそのまま反復するがごとく、展開部の前や中間に持ってくるといった、かなり大胆な手法を取っています。

第2交響曲もそうですが、有名な弦楽四重奏でも同じように旋律性を生かして、展開を行っています。
交響曲第2番の第1楽章はソナタ形式ですが、その美しい第2主題を、展開部ではそのままの状態で使用しています。
旋律が美しから許される、ボロディンならではの音楽だとも言えますね(笑)

時には、音楽の形式を頭で考えながら、音符を心に浮かべて、芸術としての音楽を楽しんでみるのも面白いです。


ボロディン作曲 交響曲第2番〜第1,4楽章



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カテゴリ:アート・文化