ここには大勢のクラシックファンがいて、それぞれがいろいろな解説などをしている。
自分のページで好きなことを言うのは構わないと思う。
というのも、兼ねてから俺は、個人的な心情がらみの、そういった曖昧なものを、解説者として載せるのはいかがなものかと言ってきた。
先入観から音楽を解釈するのは、どうしても違う気がしてならない。
よく話すことだが、その時作曲家が失恋してたからこんな旋律ができただとか、このオーケストラは歴史的に弦楽器が素晴らしいだとか、ここのパッセージは木管がよく響いてるとか…
それらは解説する人間が勝手に思っていることであって、事実とは異なることかもしれない。
でもクラシックが好きで、それを勉強しようと思って、そういった記事を読んでいる人は、特にまだ知識不足の人などは、そうなのかそれは素晴らしい〜と信じてしまうかもしれない。
一個人が自分の感情でもって、あたかも事実かのように解説するのは、間違ってると思って、それで俺はそう言った、事実でない自分の嗜好的な事を盛り込むのを辞めている。
だが、今回は俺もその例に漏れず、少し嗜好的な話から入ってみようかと思う。
今月、こちらでヘンデルのメサイヤを歌ったと言う人と知り合った。
それで俺も久しぶりにスコアを広げて、改めてこの音楽を聴いてみた。
(メサイアについて知らない人は、ウィキペディアに詳しく載ってるからそちらを。)
このオラトリオが好かれる所は、まずは旋律性と音楽構成だと思う。
特にシーンに応じて順応性のある旋律やモティーフは、物語を想像させる手助けとなってる。
それで、古典、バロックにありがちな、レチタティーヴォがわかりやすく、聞きやすい作りになっていて、そういった部分も人気の一つなのかもしれない。
モーツァルトがウィーンに移住してから、スヴィーテン男爵の依頼を受けて自ら、このメサイアのオーケストレーションに手を加えた。
管楽器など加えられている。
作品はモーツァルトの作品の一つとしてKv.572というケッヘル番号もついてる。
昔のことだが、俺が持ってる音楽之友社のスコアに、注釈としてモーツァルトの名前があって、おかしいなと思っていた。
そういった理由だったのかと知ったのは後になってからである。
厚みのある演奏が好みの人は、こちらがいいと思う。
多数演奏が出ていて、youtubeでも聞ける。
1、シンフォニア(序曲)
シンフォニアと書かれているが、伝統的なフランス序曲形式。
序奏部分は繰り返すが、2回目の演奏にプラルトリラーなどの装飾をかなり美しくつけた演奏が、たぶん、ロリンマゼルの指揮で聞いたことがある。
この演奏にかなう演奏は、未だ皆無。
この序曲は、音楽の良いところをたくさん取り入れてる序曲で、フーガ的な展開から、旋律の推移からのさらなる展開と、そしてピークにむけての旋律性とすばらしい表現。
見事としか言いようがない。
7、And He shall purify the sons of Levi
レビの子孫を清め
個人的に好きな旋律で、モーツァルトのレクイエムの参考になった感じもする。
フーガ形式だが、純粋なフーガでもなく、ヘンデルの才能が生きた展開と盛り上がりがあって、素晴らしいの一語だと思う。
24、Surely He hath borne our griefs
まことに彼はわれわれの病を負い
異彩を放つリズムと展開がすばらしい。
特に、この静と動の絶妙な組み合わせは、まさに天才としか言いようがない。
25、And with His stripes are we healed
その打たれた傷によって,われわれはいやされたのだ
フーガの形式で作られてる。
こうしたきちんとしたフーガ形式で組み立てられたものは、ヘンデルとしては少ないように思う。
この旋律も、モーツァルト のレクイエムの参考になってるのかも。
非常に綺麗に推移して、長調のパッセージも美しく響く。
26、All we like sheep have gone astray
われわれはみな羊のように迷って
よく恐ろしく速く演奏してるのを見受ける。
歌ってる方も大変技術が必要。
24からの3曲の締めくくりとして、最後は悲しく、胸に残る旋律が沈むように消えていく。
なんとも言えない程、美しい。
たまには、自分の気持ち方面から、音楽について寸評を入れてみた。
他にもいろいろ書こうと思ったが、時間切れ。
また今度機会があったら。