吹奏楽の作曲家3 吹奏楽の話43
スパークは色々とユニークな作品を作っているが、別格として、交響曲というジャンルの音楽を作曲している。
音楽の中でも交響曲は、芸術性が非常に高く、誰でも簡単に作れるものではない。
作曲家としては自身の全ての技術を注ぎ込むだけの価値がある音楽、生涯にひとつは作っておきたい音楽として、おそらくは作曲家になる前から憧れていた音楽だと思う。
中にはRシュトラウスのように、形式に固執することなく、自分の自由に音楽を作りたいと、交響詩の方に情熱を注いだ人もいるが。
そうした技術の集大成といっていい交響曲を、スパークも作曲していて、俺はその第1交響曲の時に、新作として聞いたわけだが、今は第3交響曲まで作曲されている。
この記念すべき第1交響曲は、すぐに全国の吹奏楽団や学校で取り上げられ、コンクールの自由曲として演奏されるなど、かなりポピュラーの作品となった。
俺も地元の高等学校が演奏するこの曲を、生で聞いたことがある。
またその当時、俺は娘の高校で吹奏楽を教えていたので、その関係で、吹奏楽コンクールで金賞常連校の高等学校の生徒さんと知り合った。
その学校でもこの曲を取り上げ、この音楽がどのような経緯で選曲されたかなど、裏話を拝聴したこともある。
ここから少し正直なことを書くが、俺が持っているこの曲のCDは、実は大阪市吹奏楽団の演奏で、カップリングとしてRシュトラウスの交響詩ドンファンの吹奏楽アレンジがあった。
演奏は見事な演奏だったが、どうしても同じCDに載せられていたら、嫌でも比較してしまう。
ここで比較するとは音楽の演奏のことではなく、音楽の芸術性自体のこと。
スパークが吹奏楽の作曲家としては、天才的な作曲家だと思うが、しかし聞き比べてみれば、Rシュトラウスの、この初期の交響詩でさえ、スパークの才能の遥か上をいく作品であることは、誰が聞いても容易に分かると思う。
残念ながらこの CD を聴いた感想としては、そのことばかりが頭を巡っていた。
ただ、それからしばらくして、この音楽を車に乗せて、覚えるまで聴き込んでみると、管弦楽ではなく吹奏楽としての面白みが、かなり詰め込まれた作品だということがわかった。
随所に美しいメロディも散りばめられている。
それで少し高かったが、この曲のスコアを取り寄せ購入した。
なるほどスコアを見てみると、込み入った技法を用いてる部分も多々ある。
この辺、ちょっと難しい話になって、あまり突っ込んで話すと、誤解も招くかもしれないので、この回はこの辺で終わる。
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