ブリブリの日常的な感じ

日常の自分を綴る

職場の怪談 1

今まで、いくつかの職場を経験してきたが、ちょっとしたい怪異がいろいろとあった。

まずは、最初に就職した職場であった話からしたいと思う。

その当時は、俺はまだ19歳のときだった。
大手の企業に入社して、最初からラインの検査装置の立ち上げ要員として配属された。

当時稼働準備にあたったのが、若いものからと年配者まで総勢30人近い職場だった。
立ち上げにありがちな、納期との関連で、遅れに遅れて、ついに昼夜交代でやらないとならなくなった。
○菱製のコンピューターで、技術者もホテル住まいで、交代勤務となった過酷な状態だった。

このラインは、超音波を使った油井管の探傷装置で、その管の傷を探す非破壊検査装置だった。

超音波は空気があると屈折するので、触媒に水を使って、水を経由して鋼に入る方式をとってた。

寒い夜中に、水が流れる中に手を突っ込んで、探触子の調整などを延々やらされたのは、今も心に残ってる。
けっこう辛かった。

この現場というか、会社自体がかなり大きくて、敷地内もバスで移動しないとならない所で…(とか言うと、わかっちゃうかも知れないが…)

そういった現場では、昔は死亡事故などが多く、いろいろなオカルト的な話が絶えない。
聞いた話はたくさんあるが、ここでは俺が体験した話に限定する。

それは、そんな稼働準備をやってた、寒い日の夜更けだった。

俺が、パイプを搬送するラインの点検をやってて、そのラインの高さは1.5mで、立ち上がると首だけ、ライン上に出る感じの所だった。

まあ、言ってみたら水深1.5mのプールから、頭だけがでてる感じを想像して欲しい。

足元近くの電磁弁などの調整を行ってて、ふと顔を上げると、そこで作業してる人の頭が見えた。
そろそろおしまいにして上がるからと、工長から言われて、引き上げるようと準備をした。

それが、工長がどこか一点を見つめて、いつまで経ってもその場を動こうとし無い。
なんか変だなと思って、工長の見てる先を、俺も見たら、なんと、そこに居るはずもないヘルメットが、ライン上に浮かんでる…

もしラインが突然動いたら、俺達がモーターなどに巻き込まれるかも知れないから、工長は、全員がラインから外に出るまで、確認を繰り返してる。

その確認で、見たこともないヘルメットだけが、ライン上に浮かんでる。

あっけに取られて見てる俺に、工長が、早く出ろ!と叫んでジェスチャーでもって、指示してたので、慌てて道具を持って、機械ラインから外に出た。

その間、工長とそのヘルメットを見てたが、ヘルメットの下には顔もなく、そのヘルメットも色が薄くなって消えて行った。

それから深夜に食事休憩となって、俺が工長の所へ行ってしゃべろうとしたら、何も言うなといった無言の表情で俺を睨んで、突然別の話題に話を振られた。

あれは何だっただろうか、今でもよくわからないが…

昔、至る所で死亡災害があって、この新しいラインでも、その昔稼働してて、取り壊したラインで、犠牲になった人がいたのかも知れない…

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